MANAVI!TALK 体験インタビュー|静岡サレジオ学校 学校長 末吉弘治さん | MANAVIVA!
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MANAVI!TALK 体験インタビュー|静岡サレジオ学校 学校長 末吉弘治さん
2020-11-27
MANAVI!TALK 体験インタビュー|静岡サレジオ学校 学校長 末吉弘治さん

「誠実な人間・良き社会人の育成」を掲げ、小中高一貫教育に取り組み、小学校が国際バカロレアPYP認定されるなど、静岡の教育を牽引する存在である静岡サレジオ学校。
その学校長である末吉弘治(すえよしこうじ)さんに、陶芸の達人・前田直紀(まえだなおき)さんが実施する小学生向けのMANAVIVA!のツアーにご参加頂きました。
実際に体験し、参加した子ども達の様子を見て思ったことや感じたことについて、末吉学校長にお話を伺ってみました。

❚ 楽しみながら学ぶ、それが本当の学び

ーー先日はMANAVIVA!の体験に参加頂き、ありがとうございました。
今回は藤枝を拠点として活動する、陶芸の達人・前田直紀(まえだなおき)さんの2日間に渡る陶芸ワークショップを体験頂きましたが、いかがでしたでしょうか?率直な感想をお聞かせ下さい。

こちらこそありがとうございます。2日間の体験、とても楽しかったです。その道で生きている本物の達人と出会い、本物の体験が出来て、楽しみながら学べたことが良かったです。
学校での学びって、計算ができる・漢字を書けるようになる、などの ”わかる” ”できる” ”覚える” ということを、反復練習的に行いスキルアップしていくようにやらなくてはならないところがありますが、それって楽しいかと言うとそうではないと感じています。やっぱり勉強なので、努力を強いる部分もありますし。
本物の素材や人に触れ、その素晴らしさを自分で味わったりする、これこそまさに本当の学びなのだと思います。それが前田さんとの陶芸の中で感じることができたので、とても楽しかったし、教員としても嬉しかったです。こういうことを学校としても大切にしなくてはならないなと感じました。

❚ 素材と向き合う中で、創造力が広がる

ーーそのようなお言葉を頂き、とても嬉しいです!
ツアー参加前、先生は陶芸に対してどのようなイメージを持っていらっしゃいましたか?何か学びがありそうだ、と感じていらっしゃいましたか?

幼稚園とか小学校では、遊びの中から学ぶ、ということをよくやります。幼稚園ではよく”砂場での遊び”をしますが、これは子供が砂場で自由に何かを作るという遊びの中で、砂を通して想像を広げていくというものです。そのようなことが陶芸の世界にもあるのではないか、ということは感じていました。
砂場での遊びでは”砂”を使いますが、陶芸では”土”を使い、土に向き合っていく中で創造力が湧き上がってくるような、そんなことが期待できるのではと。

ーー確かにおっしゃる通り、自分も幼少期によく砂遊びをした記憶があります。砂遊びは、”単純に楽しい遊び”だと思っていましたが、子供にとても良い刺激を与えているのですね。

そうですね。また我々人間は、生まれながらにして地面の上に立って生活を営んでいますし、もともと土との付き合いというのは人間のルーツとしてあると思います。万葉言葉に「はにこたう」という言葉がありますが、「はに」というのは土のことで、「こたう」というのは感謝するという意味です。つまり万葉人は、まず生活の源である大地・土に感謝するという考え方があったわけです。学校では、まず人と人との関わりについてを子ども達に伝えがちなのですが、その前に人間の自然や大地との関わりについて知り、それを親しく感じることができるようになることで、人間に対しても親しむことができる。本来はそういうものだと思います。

❚ 本物に触れることで、本当の自分に気付く

ーー今回のMANAVIVA!の陶芸体験も、まさに”素材(土)に共感する”ということがキーワードでした。それはものづくりをする上で、とても大切なことだと、達人の前田さんもおっしゃっていましたね。

ものづくりの達人たちは、まず自然やその素材に向かい合い、知るところから始まり、それを土台にして人々のことを考える人達なのだと、僕はそう思っています。自然や素材に向かう姿勢というのがあって、それが人間に向かう姿勢に繋がっている、それが達人ですよね。

ーーそういった達人たちと”本物に触れる体験”ができるということは、子供たちにどんなことをもたらすのでしょうか?

自分の長所と短所ってどんなところ?って、よくある問いだと思いますが、自分自身が思う長所と短所ってすごく不確かで、人から言われたり偶然が重なったりして認識していることもあって、漠然としていますよね。
今回のような本物の体験の中で、集中し作品を仕上げたりすることで、自分の中に眠っている本当の自分の素晴らしいところに気付いたり、自分でも認知していないような感性が呼び起されたりするのだと思います。
陶芸の体験の際に、自分で陶器に色を付けて焼いてみるという工程がありましたが、その焼き上がりの色が自分の想像してた色と違っても、それもそれで素敵!と思えたりするじゃないですか。また、達人がすごく楽しそうに子供達の作品の素敵なところを発見し、「すごくいいね!」って声をかけたりして。それが刺激的だし、とても貴重な体験ですよね。

ーー最後に、今後子ども達に経験させたい本物の体験で、興味のあるものなどがあれば教えて下さい。

土のつながりでいうと、農業に興味がありますね。
野菜作りや米作り、お茶やコーヒー、カカオづくりなど、そういったものが気になります。
あと、僕はもともと国語の先生なので、子ども達に童話作家さんのような”物語の達人”に会わせてあげたいなと思います。童話作家さんと挿絵を描くイラストレーターさんが一緒になって作品をつくりあげていく様子、達人と達人の感性がぶつかりあっていくような世界も、見せてあげられたらいいなと思います。

(撮影・文/辻 芹華)

末吉弘治(すえよしこうじ)
静岡市清水区出身。大学卒業後は週刊誌記者を経て、26歳で同校小学校教員となる。41歳で小学校校長になり、その後51歳で小中高の校長に就任。
他にも夕方のニュース番組news eneryしずおかにてコメンテーターを務めるなど、教育分野以外でも幅広く活躍している。

▶陶芸の達人 前田直紀さんの体験プログラムはこちら
五感はたらく陶芸アトリエ~ろくろ編
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