
はじめに
突然ですが、みなさんは「レディネス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
以前わたしが書いた、「本物の体験が、子どもたちにとって学びとなる」、
▶参照記事
本物の体験が、子どもたちにとって学びとなるーMANAVIVA!の挑戦
上記の記事内で紹介しました、教育評論家の親野智可等先生(「ドラゴン桜」の指南役として有名な方です)の記事にも、出てきた言葉です。
親野先生は本記事で、「本物の体験が子どもの”知識の杭”となり、学習活動を成立しやすくする」と話しています。
レディネスとは?
親野先生が言う「知識の杭」を持っている状態のことを、教育心理学では「レディネスがある」といいます。
加えて、記事内で親野先生はレディネスについて次のように説明しています。
レディネス:「学習活動に効果的に従事することを可能ならしめる学習者の心身の準備状態をいう。心身の成熟、適切な予備訓練、興味あるいは動機づけなどに依存する」。(ブリタニカ国際大百科事典から引用)
ちょっと難しく聞こえますが、レディネスとはつまり、学ぶ準備が整った状態を指す言葉です。
アメリカの心理学者であり教育学者であるエドワード・L・ソーンダイクが提唱し、子どもの教育の場でよく使われています。
レディネスがある状態で学習にのぞむと、子どもたちは学ぶためのある程度の予備知識や興味関心があるので、より効果的に学ぶことができます。
だから、学びには準備が大切なのです。
具体的にどういうことか、例をあげてみます。
例えば、家族旅行で神奈川へ行ったAくんは、その旅行中に「鎌倉の大仏」を見学したとします。
その後、Aくんの学校の授業で、たまたま「鎌倉の大仏」が取り上げられた時、Aくんは家族旅行の時に見た「鎌倉の大仏」のことを思い出すでしょう。
そして、「あ、これ知ってる、あの時の!」と、過去に体験したことと、これから学ぶことが繋がります。なので、学習がより頭に入ってきやすい、といった感じです。
MANAVIVA!の体験は、出発前から始まる
このレディネスという概念が、実はMANAVIVA!にもあります。
例えば、子どもが以下の「こどもフィッシングスクール」を、体験するとします。
▶こどもフィッシングスクール|MANAVIVA!
「釣り」って、シンプルに、スポーツとして楽しく遊べる体験だと思います。
でも楽しいだけではなく、子どもたちが
「自分たちが普段食べるものは、生き物の命を頂いて成り立っているということ」、
そして「それを食卓へ届けるために働く誰かがいること」
に気付づくきっかけとなる、学びある体験だと思うのです。
とはいっても、体験の当日に、ただ釣りの体験を楽しんでいるだけだと、なかなかそれに気付いてもらうのは難しいと思います。
そこで、MANAVIVA!では「MANAVIシート」というものを使って、体験前に学びの準備をすることで、体験時に子どもたちに気付きを得てもらうための工夫をしています。
子どもの「なぜ」を引き出す、MANAVIシートとは?
以下は、「MANAVIシート(例)」とその使い方です。

このシートを使うことで、これから体験する「釣り」に関連する、子どもにとっての様々な「なぜ?」が生まれるのを促しています。
・魚って、一体どんな生き物なんだろう?
・どんな姿で、どんな暮らしをしてたんだろう?
・どのようにして陸にあがってくるのかな?
このような疑問が、子どもたちの中に浮かんでくるかもしれません。
すると子供たちは、その「なぜ」の「答え」を見つけたい!という好奇心や、体験に対するモチベーション=”レディネス”が高まります。
このレディネスがある状態で、実際の体験をしてみることで、
・魚にも海での暮らしがあり、命がちゃんとあること
・魚を1つとるのに、とても時間や労力がかかること
などを実感します。これが、「生きている命を頂くことにありがたみを感じる心」に繋がったり、今回は釣りですが、「漁師さんをリスペクトする心」などにも、繋がっていくんだと思います。
MANAVIシートを活用してみよう!
MANAVIVA!のすべての体験には、このようなMANAVIシートが用意されています。
ぜひ体験の前に子どもたちと一緒に、シートに取り組んでみて下さい。
すると、子どもたちは体験をより楽しみながら、学ぶことができると思います!
――今回は「まなび」の「じゅんび」の大切さと、「まなび」を「じゅんび」するための”MANAVIシート”のご紹介でした!