
MANAVIVA!で体験を提供する個性豊かな達人たちを紹介する「達人紹介」。
第一回目の達人は、藤枝市にある水車むらで、むかし田舎体験を提供する保志弘幸(ほしひろゆき)さんをご紹介します。
❚水車むらってこんなところ
水車むらは、藤枝市街から車で約30分の里山の景色が広がる瀬戸ノ谷地区にあります。水車むらに入るには、この入口の吊り橋を必ず渡らなくてはなりません。どこか別の世界に行くような、そんな不思議な感覚になる吊り橋です。

吊り橋を渡ると、大きな古民家が見えてきました。この古民家、なんと約250年前に建てられたものだそうです!日常ではなかなか見ることができない雰囲気で、とても気持ちが高まります。

古民家の入口の方へ進んでいくと、むかし田舎暮らしの達人 保志さんが出迎えてくださいました。水車むらではどんな体験ができるのでしょうか?
保志さんにお話しを伺っていきます!

❚むかし田舎暮らしの達人ってすごい!
保志さんの案内で古民家の奥にある、釜屋にやってきました。ここでは薪を使って釜に火を付け、ご飯を炊いたりできるそうです。昔の人のように電気やガスを使わず、釜を火をつけるのはとても難しそうですが、さすが達人の保志さん。難なく順調に、釜に火を付けていきます。


また、釜に火を付けるための薪も、自分で薪割りをして用意します。初心者には難しい薪割りですが、達人の保志さんは慣れた手つきで斧を使い、次々と薪を割っていきます。達人、お見事です。

また、今日は見られませんでしたが、古民家のすぐ横には川が流れており、そこでヤマメ獲りもできるそう。獲ったヤマメは自分でさばいて、古民家の中にある囲炉裏で焼いて食べることができます。”食べることは、生きている命を頂いて食すこと”だと実感する、貴重な体験となりそうです。


なるほど。水車むらでは、現代の暮らしとは違った、昔の人々が当たり前に行っていた暮らしが体験ができるのですね。
そもそも、なぜ保志さんは水車むらで、むかし田舎体験を提供しようと思ったのでしょうか?保志さんに伺ってみました。
❚貧しい国に行って感じた、日々の暮らしの有難さ
保志さんは大学卒業後、大手化学メーカーで携帯電話やゲーム機などのプラスチック保護板の研究開発につとめていました。しかし、世界の貧困問題がニュースとなる中で、裕福な人達が使い生活を豊かにするものである”携帯やゲーム”に携わる自身の仕事に、疑問を抱くようになります。そして、会社を休職することを決意し、青年海外協力隊に応募、アフリカの貧しい国で農業支援に携わりました。その国での暮らしは、電気もガスも、水道も通っていないような環境で、いままでの日本での日々の暮らしとはかけ離れたものでした。

帰国後、保志さんは再び大手メーカーで働きますが、翌年には退社し、故郷の藤枝に戻りました。そして、趣味であるトレイルランをした際に、水車むらに出会います。当時の水車むらは、誰にも管理されていない荒れ果てた状態の、ボロボロの家屋でした。しかし、水車むらの存在感のある吊り橋や、大きな水車、昔の趣きが残る家屋などに、大きなポテンシャルを感じた保志さん。ボランティアで掃除を行い、水車むらを再生させる取組を始めます。

掃除を進めていく中で、水車むらをフックとして、地域に人が集まるようにしていきたいという想いを強めていった保志さん。
ボランティアを始めてから約1年後、活用できる状態となった水車むらは、イベント実施を重ね、ようやく事業として体験の受け入れを開始しました。長い間、人が来なかった家屋は、多くの人が集まり賑わう場所へと姿を変えました。
体験を通してどんなことを伝えたいか、保志さんに聞いてみました。
❚むかし田舎体験でわかる、今の暮らしの便利さ
「子供達には難しいことを言わずに、まずはシンプルに自然の中で遊ぶ楽しさ、おもしろさを感じてほしい。そして家に帰った時に、水車むらでのむかし田舎体験を思い出して、今の暮らしの便利さや、食への有難みをふと感じてもらえたら」と話す保志さん。また、水車むらは家族でいらっしゃる方が多いそうですが、家族同士が日常とは違った環境でコミュニケーションがなされることで、親が子供達の成長を実感したり、子供達がお母さんの気遣いや、お父さんの頼もしさを知るきっかけになったりする。そういった気づきがあるのも魅力だと教えてくださいました。

保志さんが次に実現したいことは、過疎化が進んでいる水車むらのある地域を、若い人もたくさん住むような、賑わいのある村にすることだそうです。
保志さんの挑戦は続きます!
(撮影・文/辻 芹華)
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